第一章

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 問題は――そう、安らかな睡眠を恵んでくれる布団の行方だ。  寝ぼけまなこで横を見れば、ベッド上にちゃんと存在していた。すぐさま手を伸ばしかけた所で、ふと違和感を覚えた。手がぴたりと止まる。  求めて止まない布団は今、人型の膨らみを有していた。視線を巡らせてみれば、布団から幼い少女の顔が生えている。  にわかには信じがたい光景。蓮は視界の歪みを消すべく、枕元の眼鏡ケースから銀フレームの眼鏡を取り出してかけた。  しかし、当然ながらリアルはリアルとして、厳然とあるがままを保っていたのだが。
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