オレンジとレモン

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ふと気付くと、男は何もない世界に一人取り残されていた。 「…ここは?」 そう呟いても誰も答えてくれる者はいない。 この世界には男一人しかいないのだから。 どう考えても現実的でないこの世界は、自分が見ている夢なのだろう―男がそう思った時だった。 『お前をベッドに連れていく蝋燭が来たぞ』 男の頭の中に人ではない声が響く。 そして、いつの間にか男の目の前にシルクハットを被り、燕尾服を着たカカシが立っていた。 カカシの顔には子供が描いた様な大きな口が描いてあるだけで、顔は無いと言ってもおかしくない。 そして、普通は一本であるはずのカカシの足が二本あり、ちゃんと靴を履いている。 男はカカシの手を見て、気付いては行けない事に気付いてしまった。 カカシの手にはべっとりと血が付いた斧が握られていたのだ。 自分はこいつに殺される 男は本能的にそう思い身構えるが、ここは夢の中、どうすれば良いのかわからない。
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