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終電に間に合わなかったため私はしばらく散歩する事にした。
加藤君は歩いて10分程の距離にアパートがあるらしく終電を気にする必要はないといっていた。
私も走れば電車と同じ程の時間で家に帰る事が出来るが歩く事にした。
すると携帯電話がなった。
加藤君だ。
「ごめん! さっきお金払ってなかったわ私!
今度払うから!」
「いや、気にするな。払わなくてもいい。」
「マジ!? ありがとう。 今度は私がおごるから。 じゃあね。」
慌ただしく電話が切られた。
さっきまでの姿からは想像つかないほど元気そうだ…。
無理してるのか…?
わからん。
まあ、元気になったのならいいのだが。
私は公園のベンチに座り、コンビニで買った温かいお茶をのんだ。
三人の男が近付いてきた。
「ねぇ、おじさん。」
まだ未成年だろう。
「聞いてる?おじさん。金貸してほしいんだけどぉ」
今日は何かと忙しい日だな…
「残念ながら聞こえていない。
帰れ。」
私は短くそう答えた。
三人は一斉に「ああ!?」と言った。なんと意気のあった少年たちだ。
「おい、おっさん!舐めてんのか?」
「舐めてんのかとはお決まりのセリフだな。もっと他にないのか? 君はどうだ? 言って見たまえ。」
私は今まで話しかけてきていた真ん中の少年の右手にいる少年に声をかけた。
「なんだとコラ!?
なあ、ケンジ。コイツやっちゃってい…」
私は少年が言い終わる前に一瞬で少年の背後にまわり、耳元で囁いた。
「面白い…私は逃げないから、遠慮せず来たまえ。」
少年達は一斉に飛び下がった。
私が座っていたベンチから彼らまでの距離は二メートルほどあった。
彼らは自分が見た事を信じられない様子で私を見ていた。
私はただ彼らの背後に移動しただけだ。
しかし彼等には私が瞬間移動したように見えたはずだ。
「どうした? 来ないのか?」と言うと私はサングラスを取った。
私の目は夜の暗闇の中でもルビーのように赤く輝く。
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