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彼らは怯えていた。
少しずつ後ずさる彼等に私は右手を差し出し、手を広げた。
「さあ、選べ。火、水、土、風。どの精霊の怒りをかいたいか選べ。」
私はファンタジー映画に出てくる魔法使いのように言った。
勿論魔法は使えない。スプーン曲げすら出来ない。
だいたい何の為にスプーンを曲げるのか理解できない。所詮自分の力を誇示したいだけなのだろうが。スプーンを手を使わずに曲げる事が出来たとしても何の役にも立たない。
曲げたければ手でまげる。必死に睨み続けるより早い。
それ以前に曲がったスプーンだと非常に食べづらいではないか。
おっと、話がずれてしまった。
私は逃げ出そうとした彼等を捕まえ、散々説教してから返した。
「お前たちの気は記憶した。次、同じような悪さをした時は許さんぞ。」
勿論、離れている人間の行動を把握し、そこへ駆けつけるようなアニメキャラクターのような真似は私には出来ない。
少年達を見送ると、私は大人しく帰る事にした。
家が一番平和だ。
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