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――――――……
――――……
――……
沢渡漲は暗い闇の中にいた。
上も下もない、ただ真っ暗な空間に一人ぽつんと存在している。そんな感じだった。
この様子から、ここが店内でない事が分かる。
もし、漲をここに連れてきた腕と足の正体が人の体を高値で売る恐面のお姉さんだったとしたら………。
そんな考えが漲をよぎり、背筋に悪寒が走る。
―――チクショウ……。なんだってんだよ一体。俺が何したよ…―
漲は先程の出来事を振り返ってみた。
自分は自作パソコンの材料を買うため、部長の立場にも関わらず部活を無断でサボった。
そして、例え部内1の駿足を持つ友人に追われても逃げ切れるようにと道を選び、行きつけの電気屋まで全力で走った。
ようやく店内に入ることができ、パソコンの部品をあさろうと店内を歩いていた矢先に意味の分からない足を見付け、そのままスルーして帰ろうとしたら今度は腕に掴まれた。
ついでに顔面から転んだ。
そしてその手足が『人』だと分かり、そいつの助けを呼ぶ声を聞いて自分は必死にそいつの腕を引っ張った。
そして………
――――んで……。逆に引きずり込まれたんだよな………。
一体何がどうなってんだか………―
漲ははぁ……とため息を吐く。
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