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『ホント驚きましたよ。行きつけの店だったんで……、まさか店内に腕と脚が転がってるなんて思いもしませんしね』
そんなセリフを発する自分がリアルに想像つき、心底嫌な気分になる。
よって、以上のことから漲は自分の制服のズボンを掴む『何か』=『悪趣味なパーツ』と解釈。
服に引っ掛かっている『パーツ』を外そうと、なるべく自然に、かつ"ただの枝だ"と言い聞かせてソレに手を掛ける。
大丈夫、きっと硬い……
「…………………………」
沢渡漲の動きが止まる。
硬いとか柔らかいとか、もはやそういう問題ではない。
掴まれた。いや、『離すまい』と力を入れられた。
漲がいくら引っ張っても振り回しても一向に外れず、
それどころか黒い物体…その手袋をはめた『手』のパーツはむしろ外されまいとして力を込めているように見える。
さすがの漲もこれには焦る。
肝が座っているように見えても実は怖がりな漲。
まさか、本当に………?
そんな考えが彼の頭をよぎる。
手に持っていたコードは重力に従って漲の手から離れ、目先の目的であった『自作パソコンを完成させる』ことなどすっかり忘れさっていた。
目の前に広がる奇妙な光景。
何度自分に言い聞かせても現実の出来事がソレを否定する。
そして追い打ちを掛けるかのごとく、"ソレ"は言葉を発した。
「………て、…手を…誰か……」
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