クリスマスの約束

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  不在着信あり:30件     「――ちょっと携帯から離れたらすぐこれかよ」   俺は、苛々していた。   一つは、ここ最近毎日携帯にかかってくる、見知らぬ番号からのしつこい着信に。   もう一つは、今年で24にもなるクセに、平気で家の中をバスタオル一枚で歩く、目の前の自分の姉ちゃんに。   「姉ちゃん、服位着ろっていつも言ってるだろ」   こたつにあたっている俺は、テーブルを挟んで正面に立っている姉ちゃんを、見ないようにして言った。   俺の言葉が耳に入っていないのか、姉ちゃんは片手に缶ビール、もう片方の手を腰にあて、勢いよくビールを飲む。   「っぷはー! 堅い事言うなって、この風呂上がりの一杯が一日の楽しみなんだから」   口から缶ビールを離すと、そう言って幸せそうに俺に笑いかける姉ちゃん。   天然パーマの腰まである長い髪を、ハンドタオルをターバンのように巻き付けまとめている。大雑把な性格のせいか、額やうなじから少量の明るい茶髪がはみだしている。   大きなつり目と白い肌をもつ姉ちゃんは、少しきつめの印象を受けるものの、確実に美人の部類に入るだろう。  
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