クリスマスの約束

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  それに比べて俺は、でっかい耳と小さな目が昔からコンプレックスだ。多少人より秀でていると思えるのは、夏に引退した野球部で培った体力と、小麦色の肌だけ。   坊主だった髪型も、やっと短髪まで生えてきたけど、どうセットしていいかわからず結局無造作にしたまま。唯一姉ちゃんに似たといえば、少し目がつりあがっている所くらいで。   姉ちゃんはそんな俺の、数少ない自慢だった。     俺達は、都内のマンションに二人で暮らしている。   姉ちゃんは家計を支える為に、平日はセールス会社のOL、土日はスーパーのバイトという生活。俺もピザの配達のバイトをしているものの、その給料は微々たるもので、学費等自分の出費の方が多い事が悔しい。     そんな生活の中でも、姉ちゃんはいつも明るく俺の事を一番に考えてくれてきた。   昔はそんな姉ちゃんに素直に接する事ができたのに、高校に入った頃から仲の良さを恥ずかしいと感じるようになってしまった。   遅すぎる反抗期というヤツなのだろうか、今では姉ちゃんの行動一つ一つが気に触って仕方がない。  
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