クリスマスの約束

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  今だって別に、姉ちゃんの格好を意識している訳じゃない。ただ俺は、姉ちゃんのこういう女らしくない所が、なんていうか嫌なのだ。   男まさりというか親父臭いというか……。化粧もまともにしてないみたいだし、こんなんで嫁の貰い手があるのか。そんな心配をする俺も、結構親父臭いのかもしれない。   「なーにイラついてんだよ!」   「ぐあっ!」   いつのまにか俺の横に移動していた姉ちゃんに左肩を蹴られ、容赦ないその力によろめいた。   すかさず睨みつけたが、俺に最近元気がない事はとっくにおみ通しだ、という顔をして姉ちゃんも俺を見ている。   「なんかあったら言えよ? あたしは、いつでもお前の味方だからな」   目一杯歯を見せて笑う兄ちゃん……いや、姉ちゃん。この言葉は、姉ちゃんの口グセだった。   「……別に、なんでもねーよ。風邪ひけばーか!」   俺は吐き捨てるようにそれだけ言うと、居間を出て自分の部屋に逃げた。   我ながらガキっぽい態度だと思う。だけど、この悩みは姉ちゃんには言いたくない。   嫌がらせが怖いなんてカッコ悪いし、何より姉ちゃんに、余計な心配をかけたくなかったんだ。  
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