敗走

2/11
前へ
/134ページ
次へ
「進め!」 象部隊を先頭に、孟獲軍は重装歩兵隊に向かっていった。 「袁術様!敵が包囲を突破するため、我が軍の左翼に戦力を集中させています。」 「袁術様、敵は、象部隊を先頭にして、全軍で左翼に襲いかかってきました。」 孟獲軍の様子が、次々に報告されてくる。 「慌てるな。教えたとおり、象部隊を避けるのだ。弓矢隊は、すこし下げろ。象だけを集中的に狙わせるんだ。」 「騎兵は、敵の後ろから攻撃させますか?」 司馬師が訪ねてきた。 「いや。重装歩兵隊を抜けた敵を、各個に撃破させろ。右翼の重装歩兵は、砦に突入させ、正面に配備した重装歩兵は、本陣に戻せ。」 祥太の命令は、確実に実行されていた。しかし、 「袁術様!」 「どうした?敵に別動隊でもいたか?」 余裕の表情で、報告を聞いた。 「呂布殿が、自分の部下を引き連れ、勝手に追撃を開始しました。さらに、周囲の兵士達も、呂布に付き従い、追撃を始めています。」 「呂布め…まあ、よい。呂布には、好きなだけ戦わせておけ。」 祥太は、呂布を守りに使うより、戦線で戦わせる事にした。 「まあ、無理矢理呼び戻そうにも、命令に従うとも思えないしな。」 祥太は、本陣に向かっていった。
/134ページ

最初のコメントを投稿しよう!

589人が本棚に入れています
本棚に追加