589人が本棚に入れています
本棚に追加
/134ページ
プロローグ
「寒いな…孝彦よ、ホットカーペットだけじゃ、絶対に寒いって。」
「相変わらず注文の多い奴だな。」
わざとらしく震える友人の言葉を、藤堂孝彦は見ないふりをした。
「なら、お年玉で買ったら?」
篠山祥太は、孝彦に文句をいい続ける。
「嫌だよ。他に買いたいものがある。」
二学期が終わり、世間では年越しの準備で、どこも大忙しである。二学期中は、体育祭や文化祭があり、ゆっくりする時がなかった。
「しかしなぁ、大晦日に男二人で、戦争だなんて…寂しいね。」
祥太が言う戦争とは、三国志を題材にしたカードゲームの事である。
二人きりで、このカードゲームを開始すると、その戦場に飛ばされてしまう。
今までに二度戦い、成績は一勝一敗である。
「さて、今回は勉強してきたから、今までみたいに、作戦で遅れはとらないよ。」
「おいおい…最近真面目に何かを読んでると思ってたら。」
孝彦は呆れた表情で、祥太を見つめた。
「んで、今回は誰になさる?」
祥太が聞いてきた。
「そうだな…今回は、南蛮王・孟獲を使うかな。」
「孟獲って事は、象兵だな。」
孝彦は笑いながら頷いた。
「象兵は騎兵と勝手が違うが、騎兵以上の戦果を期待してるよ。」
最初のコメントを投稿しよう!