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「行ってらっしゃい。」
母親の香苗が俺に言う。
「行ってきます。」
俺はそれに返事して家を出る。
変わらない日常。
また1日が始まった。
と、言っても人付き合いが苦手な俺はいつも一人で、友達と言える存在がいなかった。
「おい、鈴木」
「………」
「良かったら一緒に行かないか?」
俺は突然の事に戸惑った。
こいつは上田雄馬。
クラスで1、2を争う喧嘩が強い男。
そんな男が何故俺なんかに話しかけてきたんだろうか?
「俺が不良だからって怯えてんのか?
心配すんなよ。
何もしやしない。」
「どういうつもりだ?」
「単純に友達が欲しいだけさ。」
「……。」
「お前いつも一人でいるだろ?
そう言うの見てると声かけてみたくなるんだ。」
「変わってるな。」
「ははは、良く言われる。」
俺は上田と友達になった。
友達と話しながら学校に行くのがこんなにも楽しいなんて今まで分からなかったんだ。
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