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「………………えっ!?」
「驚くのも無理はない。大丈夫、順を追って説明する。
あと、君は“ノア”だ。今は意味がわからないだろうが、覚えておいてくれ」
驚愕する少年に冷静に対応するカルマ。
言ってる内容は更に混乱させそうなものだが、物腰が落ち着いているので、少年の方も平静を保てている。
「まずは“ノア”について説明する。コレがわからないとアークが何かも説明しづらいんでな。
あっと、その前に君の名前を聞かないとな」
カルマが言う。少年が落ち着いて対応出来るよう気を使った手順で説明しようとしてるようだが、少年にはその優しさがなんだが薄っぺらく感じられた。
「カイト……カイト・ニクス」
少し警戒した口調。
まぁ助けてくれた人とはいえ、今日初めて会った年上の人間に名乗るのだから普段通りに振る舞える方がおかしいのかもしれない。
「カイト、ノアの方舟って知ってるか?」
「えと……聖書に書いてある…………?」
いきなりの呼び捨てが気になったが質問にだけ答える。
いつの間にか握り締めた拳には、さっき渡された指輪があった。
何故だか心臓は高鳴り、いつの間にか汗でシャツが背中に引っ付いている。
(いや、コレはさっきの冷や汗……)
キョトンとしていただけのカイトは冷や汗などかいていない。
矛盾した言い訳。
保たれていたはずの冷静さは、静かに、ゆっくりと奪われていた。
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