1941人が本棚に入れています
本棚に追加
大和は、キャップのつばを触る。
これは大和から中谷への、ブロックサイン。
意味はただ一つ。
勝負しよう。
それを理解してくれた中谷はミットを景気良く叩いた。
「よしこい!」
中谷がミットを構える。
大和は、しきりに針生を気にするフリをした。
出来るだけ、リスクを減らしたい。
しかし、針生もそれを見越してか、無表情のまま大和を見ている。
しかたあるまい。
大和は意を決して、ゆっくりと息を吐く。
そして、動いた。
その動作は、素早い。
大和の得意技である、クイックモーションからの投球。
磯島の体勢が少しくずれているようだ。
大和は指先に力を込める。
そこから、ストレートを放った。
それと同時に、後ろで走る音が聞こえる。
磯島はバントの構えを見せない。
単独スチールか。
最初のコメントを投稿しよう!