9、野田のスクールライフ

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「研究したから」 「あ、そうなんだ! でも、大和君には初めての時からボカスカ打たれてさ」 塚原はそこで肩を落とした。 「やっぱり、駄目なんだろうなーって思っちゃうんだ。好太君も大和君も、次元が違うなーって」 「俺もさっき同じことを考えた」 「野田君も?」 野田は頷いた。 「だけど、俺達がいなかったら、好太や大和も力を発揮できない。塚原がいるから好太も思いっきり投げられる」 「そうなのかな?」 「絶対にそう」 「そっかー……。何か元気が出てきたよ! ありがと!」 そう言って塚原はボールかごを片付けに行った。 その足取りは軽く、本当に元気になった様子。 この高校には本当に面白いやつばかりが集まったなと、野田は自分のことを棚に上げて思った。 その日の夜、野田は橘にメールした。 野田のメールは簡潔だったが、その内容に一つだけ、普段絶対にしない大笑いしている顔文字が入っていて、橘は微笑んだ。
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