10、Ready up

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「好太君のボールなら、カーブはスピードの遅さと変化を使い、シュートはスピードの速さと始曲点で芯をずらす。塚原君の場合も好太君のシュートと近いけれど、意味が全然違う」 美鈴は大和からボールを貰った。 「好太君のシュートは、相手に必ず悟られる。手元で動くと。だけど、塚原君の変化球はバッターが目を切ってから変化する、つまりばれない変化球を目指すの。スピードを極限まで速め、始曲点をぎりぎりまで奥にする。それが出来れば、現代の魔球よ」 美鈴はいつものように笑った。 「そして、塚原君はタフ。残念だけど、好太君の体力は」 「ないですからね」 これは大和も同意するしかなかった。 「好太君だけではダメだし、塚原君だけでもダメ。大和君は二人を上手くリード出来るように頑張ってね」 「頑張ります」 「じゃ、あと50球投げたらあがりましょう」 美鈴は塚原にボールを投げた。 受け取った塚原はワンエンドアップからボールを投げる。 低い弾道のボールが大和のミットに突き刺さった。 「ナイスボール!」 大和と美鈴は声を合わせて言った。 それを見た塚原は、いつものようにはにかみながら微笑んだ。
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