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グラウンドでは、実戦を想定したノックが行われていた。
球を出す邦彦は凄いコントロールで、取れるか取れないかのぎりぎりなボールが飛んでくる。
サードの守備についている岩崎は、難しいゴロをさばき、ファーストに投げた。
「岩崎良いぞー!」
邦彦は褒めた。
岩崎はまた定位置に戻り、他の守備陣を見る。
次はショートの磯島にボールが飛んだが、磯島は楽々ボールに追い付き、ファーストにボールを送った。
何度見ても華麗で、堅実な守備。
宍山のショートも上手かったが、磯島は頭一つ分以上抜きん出ている。
この青山堂に来て大分経つが、日を経るごとに段々チームメイト達がなぜここに来たのか理解してきた。
皆癖が強すぎて、名門の湯島や音平学院のような所では活躍出来いから。
セカンドの南が良い例だ。
守備だけなら本当に凄い。
ただし、打撃があまりにもひど過ぎて、守備のプラスと合わせても総合的にマイナスで終わってしまう。
野田だったら、そもそもプラス面が分かりにくい。
数字には出ない分、名門のスカウトも話し掛けづらかったのだろう。
そんな中にあって磯島はさらに凄さを増しているようだ。
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