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針生の打撃も力強いが、そのフォームやバットスイングはとても柔らかい。
その事まで大和は気付いたわけでは無いが、感覚的に共通点が多いのではないかと感じている。
大和が一人でそんな事を考えているうちに電車は不河駅についた。
野田も大会が近いということで、練習を手伝ってくれるらしい。
大和は明日の事を考えながら、練習に励んだ。
「大和君、好太君、行くわよ」
次の日、美鈴は大和と好太の昼食を食べ終わると同時に教室へやってきた。
さすがに学校の中なので、いつもの黒いサングラスは外している。
それでも怪しげな雰囲気は消えていない。
野球部員達は慣れていたが、他の人達は不安げな表情を浮かべていた。
「幸運を祈る」
野田は真面目な顔で親指を立てた。
磯島はかばんをあさり、お守りを取り出す。
「これ、受験の時に持ってたやつだから合格祈願だけど……」
磯島は好太に手渡した。
「ありがとな! まぁ、試験じゃねーから効果はわかんねーけど、とりあえず持っとく」
好太はポケットにしまうと、かばんを持った。
「あら、好太君なんで帰る支度をしているの?」
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