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「なんでって……え?」
好太は救いを求めるように大和を見た。
もちろん、大和にはどうしようもない。
大和自身、抽選会が終わった後は帰れるものだと思っていた。
ただ、昨日美鈴はそんな事言っていなかったのも事実。
「あなた達が引いた結果なのだから、あなた達の口から報告しなければいけないでしょ? それに、抽選会終わって帰って来てからだって十分練習する時間はあるのよ」
そんな正論を言われてしまっては、なにも言えない。
好太は黙ってかばんを元の場所に戻した。
それを見た美鈴は満足そうに微笑む。
「じゃ、行くわよ」
大和と好太は、俯き加減に美鈴の後ろをついていった。
駐車場につくと、美鈴は1番近い位置にあるクルマに近づく。
美鈴のクルマは大きさも色もいたって普通。
しかし、持ち主と同じく、なぜか嫌な存在感と威圧感がある。
「さ、早く乗って」
美鈴は運転席に乗り込んだ。
そして、いつものサングラスとエンジンをかける。
「おい大和、問題がある!」
「どんな?」
「どっちが助手席に座るんだよ!」
「それは……」
大和は言葉に詰まった。
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