10、Ready up

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正直に言ってしまえば、絶対に助手席は座りたくない。 好太も表情から同じ事を考えているのだと読み取れる。 しかし、二人とも後部座席に座るのは明らかに不自然。 どちらかはいけにえにならなくてはならない。 「……どうする?」 好太は額に一筋の汗を流した。 大和は握りこぶしを前に出す。 好太も大和の意図を理解して手を出す。 「最初はグー。ジャンケンポン!」 好太はチョキを出している。 一方の大和は、五指を完全に開いていた。 好太の勝ち。 「よろしく頼むぜ」 好太は大和の肩を叩き、さっさと後部座席に乗り込んだ。 残された大和は自分の手を見る。 それから一つ大きく息を吐き、意を決して助手席に乗り込んだ。 そんな大和を、カーステレオから流れるクイーンの歌が包み込む。 なんとも景気の良い曲調だ。 洋楽に疎い大和でも聞いたことがある。 確か、前にドラマ主題歌だったと思い返していた。 「じゃ、行くわよ」 三人を乗せた車は、予鈴の聞こえる青山堂高校の駐車場から出発した。 道中、美鈴は取り留めの無い事をいつものテンションで喋る。
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