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「そうなんですか! 先生の兄は今何を……」
「着いたわよ、湯島高校」
「え!」
大和は驚いて窓の外を見た。
堂々としたレンガ色の校舎に、いかにも古めかしい時計が着いている。
時計の針はほぼ三時を指していた。
グラウンドでは陸上部が部活動に励んでいる。
半年前と変わらない、日常があった。
「今日湯島だったんですか?」
「そうよ。言ってなかった?」
美鈴は何も言っていなかった。
けれど、大和達が聞かなかったのも事実。
「はいはい、ぼーっとしてないで行くわよ」
美鈴はぼーっとしている大和達を置いてさっさと歩きだした。
大和達はどこか裏切られたような気もしながら美鈴の後を付いていく。
途中、好太が上履きを忘れたことに気がつくまでは。
湯島高校の講堂は、扇型で扇の要部分に机が置いてある。
初めての構造の部屋に入った好太はキョロキョロと辺りを見回した。
大和も、辺りを見てある人物を探す。
その人は直ぐに、見つかり、大和は走り寄っていく。
「久米さん!」
大和が呼び掛けると、久米がこちらを振り向いた。
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