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授業が全て終わると、青山堂高校野球部は邦彦の指導の元、練習を開始した。
いつもとあまり変わらない練習がグラウンド上に展開されている。
しかし、皆心中は穏やかではない。
いつもの緊張した空気の他に、不安と希望が入り交じっていた。
好太や大和からは何の連絡も入っていない。
美鈴に口止めされているのか、誰にも言えないような組合せなのか。
どちらにしても、今日中に分かることだけは間違いない。
しかし、この間が皆の不安をかきたてていた。
「大和君達、どうなったのかな?」
磯島が普段と変わった様子を見せない野田に聞いた。
「分からない。でも好太は強運。心配は無い」
野田はボールをひとつかごから取り出し、自分のミットに投げた。
すると、ボールが弾き返される。
磯島と野田がミットを見ると、既に一つボールが入っていた。
「緊張してる?」
「かなり」
「なんか不思議だね。何となくだけど、野田君は緊張や不安といったマイナスの精神状況に強いと思ってたよ」
「まさか。俺もロボットじゃ無いからな。緊張は他人よりしてる」
「そうなんだ。野田君、ロボットじゃなかったのか」
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