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近くで会話を聞いていた加藤と川上が吹き出した。
「一応な」
「冗談だよ冗談。でも、本当に意外だね」
「昔から人一倍緊張するタイプ。誰もそんな事言わないが」
「ふーん」
「集合」
邦彦が叫んだ。
磯島と野田も言われた場所に集まる。
どうやら、美鈴達が帰って来たらしい。
大和と好太の姿もあった。
二人とも複雑な表情をしている。
野球部員達はその表情で結果の一端を想像し、ほとんどがダメだったのかと思った。
「こんにちは。早速だけど、トーナメントの結果を。好太君」
「えーっと、俺達は第四シード下……。いや、この場合上に入った」
「つまり」
「第四シードのパックだね」
加藤の疑問に大和が答えた。
部員全体に重苦しい雰囲気が漂う。
「第四シードは釜内商業。守備の上手いチームらしい」
好太の話を聞く部員は殆どいなかった。
しかし、不河農林戦のレギュラー達、特に野田は違う。
「どう思う?」
磯島が野田に囁いた。
「問題無いな。好太のくじ運は良い。俺達、第四シードを食うんだろ」
野田はいつもと変わらない表情、声色で答えた。
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