10、Ready up

26/40

1941人が本棚に入れています
本棚に追加
/604ページ
近くで会話を聞いていた加藤と川上が吹き出した。 「一応な」 「冗談だよ冗談。でも、本当に意外だね」 「昔から人一倍緊張するタイプ。誰もそんな事言わないが」 「ふーん」 「集合」 邦彦が叫んだ。 磯島と野田も言われた場所に集まる。 どうやら、美鈴達が帰って来たらしい。 大和と好太の姿もあった。 二人とも複雑な表情をしている。 野球部員達はその表情で結果の一端を想像し、ほとんどがダメだったのかと思った。 「こんにちは。早速だけど、トーナメントの結果を。好太君」 「えーっと、俺達は第四シード下……。いや、この場合上に入った」 「つまり」 「第四シードのパックだね」 加藤の疑問に大和が答えた。 部員全体に重苦しい雰囲気が漂う。 「第四シードは釜内商業。守備の上手いチームらしい」 好太の話を聞く部員は殆どいなかった。 しかし、不河農林戦のレギュラー達、特に野田は違う。 「どう思う?」 磯島が野田に囁いた。 「問題無いな。好太のくじ運は良い。俺達、第四シードを食うんだろ」 野田はいつもと変わらない表情、声色で答えた。
/604ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1941人が本棚に入れています
本棚に追加