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「釜内商業って、どうなの?」
大和が一休みしながら聞いた。
「とにかく守りが固い。一点とか二点くらいしか失点しねーんだよ」
好太はランニングマシーンの上から答えた。
息が切れるほどの速度では無いが、喋るにはきついかもしれない。
「ピッチャーの真山が技巧派。球速も変化球もたいした事ねーけどな」
「打撃は?」
「あんまりだ。しっかりたたき付けてくるが、それだけ。打撃に関しては水尾のほうがめんどうだ」
「水尾か……」
大和は溜め息をついた。
釜内もだが、一回戦の相手である水尾はかなりやっかいである。
去年の秋季大会、湯島高校に三回戦で負けはしたが、七対六という僅差でどちらが勝ってもおかしくなかった。
もちろん、好太からの情報である。
「そういえば、泉も水尾だよね」
「確かな。レギュラーになったとは聞いてねーけど」
泉は不河中学で一番足が速かった選手。
打順も一番か二番を打っていた。
水尾には他にも不河の先輩達が通っている。
不河と水尾は近く、野球部以外でも進学する人が多い。
「水尾はとにかくバットを振ってくる。初球からガンガンな」
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