10、Ready up

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「おう、頑張ってこいよ」 好太はランニングマシーンの上でヒラヒラと手を振った。 大和が校門に行くと、結城が壁を背もたれにしながらしゃがんで待っていた。 「遅くなってゴメン!」 「ううん、私もさっき来たばっかりだから」 結城は立ち上がった。 大和もそれを見てゆっくりと歩を進める。 大和が二歩歩いて結城が三歩歩くくらいで、進むスピードは同じだった。 大和は何を話せば良いか分からず、口を開くことが出来ない。 結城も何かを言おうと息を吸うが、結局そのまま吐き出すといったことを繰り返していた。 「もう暗いね」 結城がぽつりと呟いた。 もう夏の足音が聞こえ日が長くなってはいるが、七時を過ぎてしまうと日も落ちて空には月と星の明かりしかない。 大和もただ「暗いね」としか言えなかった。 いつもは野球の事やソフト部の事を話しているが、よく考えてみればそれ以上の話題はない。 そう気付いたら、何となく気が重くなった。 結城について知っているのはソフトや野球のことだけだ、と。 「大和君、大丈夫?」 声がした方を見ると、結城が心配そうな顔を向けていた。
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