10、Ready up

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「え、何が?」 「疲れた顔してるよ」 「そう? まぁ疲れてないことはないかな」 大和は力無く笑った。 「やっぱり、まだキャッチャーに慣れないの?」 ふいに結城が聞いた。 「そんなことは無いつもりだよ。そんな風に見えたかな?」 「うーん……」 結城はそうとも違うとも取れる返事をした。 大和と結城がたどたどしい会話をしている頃、野田は学食で教科書を開いていた。 その向かいには橘も座って勉強している。 和やかな雰囲気の学食の中、二人は独特な緊張感を漂わせていた。 「野田君、聞いてもいいかな?」 野田が前を向いた。 橘は歴史の問題を野田に見せたが、野田の動きが固まる。 「何か不都合が?」 「分からない」 「え?」 「暗記は苦手だ」 野田は抑揚の無い声で答えた。 「意外だね、野田君にも関知していないことがあるのか」 「だから勉強している」 「それはそうだね」 橘はふっと笑った。 よく考えれば、授業中も野田は隣で勉強しているし、こうやって放課後も勉強している。 こんな感じで他人と一緒に勉強するのは初めてじゃないかと、橘は思った。
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