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大和はいつも通り「ハイ」と返事した。
それは隣にいた好太も同じ。
しかし、明らかに返事の声が足りない。
大和はちょっときまりが悪く、下を向いて立ち上がった。
「返事はどうしたの?」
美鈴が困惑というより、むしろ面白そうに聞く。
部員達は返事どころか立とうとすらしない。
その殆どが挑発的な眼差しを送っていて、かなり険悪な感じがする。
「やってらんないですよ」
一人が声に出して不平をもらした。
この前の試合でライトを守っていた大牟田だ。
当然、今回もライトと言うことになっている。
「俺は今までピッチャーしかやったことないんですよ? なんで今更外野なんか」
「でも試合にでられたじゃないか」
川上が言った。
「俺は大和君と同じポジション。試合に出れる可能性は殆ど無い」
大和は川上の言葉を否定しようと思った。
だけど、それが一体何を意味するか。
大和はそれに気がつき、ただ口を閉じた。
「試合に出れるかも知れないじゃないっすか」
加藤が大和の代わりに弁護した。
しかし、意図は180度違う。
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