10、Ready up

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大和はいつも通り「ハイ」と返事した。 それは隣にいた好太も同じ。 しかし、明らかに返事の声が足りない。 大和はちょっときまりが悪く、下を向いて立ち上がった。 「返事はどうしたの?」 美鈴が困惑というより、むしろ面白そうに聞く。 部員達は返事どころか立とうとすらしない。 その殆どが挑発的な眼差しを送っていて、かなり険悪な感じがする。 「やってらんないですよ」 一人が声に出して不平をもらした。 この前の試合でライトを守っていた大牟田だ。 当然、今回もライトと言うことになっている。 「俺は今までピッチャーしかやったことないんですよ? なんで今更外野なんか」 「でも試合にでられたじゃないか」 川上が言った。 「俺は大和君と同じポジション。試合に出れる可能性は殆ど無い」 大和は川上の言葉を否定しようと思った。 だけど、それが一体何を意味するか。 大和はそれに気がつき、ただ口を閉じた。 「試合に出れるかも知れないじゃないっすか」 加藤が大和の代わりに弁護した。 しかし、意図は180度違う。
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