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「でもなんで俺なんか……」
「言ったでしょ、四番は育てられるものじゃないって」
答えになっているとは思えない答えを残し、美鈴は大和に背を向けて歩いて行った。
どういう意味だろうか。
大和は呆然と考えていたが、好太に呼ばれて我に帰った。
「早くしろよー」
好太が待ち切れないと言わんばかりに大和を急かす。
「ちょっと待って!」
大和は出来る限り急いで準備を済ませる。
その時には、四番がどうとかの話は既にどうでも良くなっていた。
美鈴が四番にすえるなら、それでも結構。
今自分が考えなくてはいけないことは、二年後には泣いても笑っても仕上げ終わってなくてはいけないということ。
その為に、今は一生懸命好太の球を受け、試行錯誤しながら進んでいく。
不器用な大和にはそれしか方法が無かった。
美鈴によって掻き乱され、混乱させられ、纏められた青山堂高校野球部。
その全員が美鈴の目標の為に歩き出した。
甲子園への長き道程が始まる。
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