11、夢の始まり

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「まさかこうなるとはな」 好太が空を見上げながら呟いた。 小雨が降っている。 大和達の試合がいざ始まるぞというときになって振り出した。 アルプススタンドに控える吹奏学部員も、この悪天候に帰る準備を始めたようだ。 それも無理は無い。 相手は県内でも有数の強豪校。 わざわざ負ける試合の応援をしたいとは誰も思わない。 吹奏楽部員がいなくなると、後は有志の応援団しかいなくなる。 その中には、この前の地区予選を勝ち抜き、インハイに出ることが決まったソフトボールの部員もいた。 「結城ちゃん来たみたいだな、大和」 「そうみたいだね」 ベンチから見えるはずも無いが、アルプススタンドのどこかで試合を見ている結城の姿を大和は思い浮かべた。 「野田ー、橘ちゃんも試合見に来ているらしいじゃねーか!」 「らしいな」 野田は落ち着きなくミットにボールをたたき付けている。 緊張しているのだろうか。 もちろんそれは橘に見られるということではなく、文字通り「泥試合」になるこれからを思ってだろう。 「二人共青春を謳歌してんねー!」 「どうしたの好太君?」
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