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審判の「プレーボール」の掛け声と共に、球場にサイレンが鳴り響く。
水尾の一番打者は小さく、いかにもすばしっこそうな左バッターだ。
セーフティーでもされたら、緊張している内野の守備に乱れが出るかもしれない。
特に三塁線は岩崎なので、守備経験が人より少ないのだ。
あまり打たれたく無い。
大和はストレートのサインを出し、アウトローにミットを構えた。
好太は大きく振りかぶり、豪快なフォームでボールを投げる。
水尾の一番バッターはバットを振ったが、バットの先端を掠っただけで、ボールは一塁ファールゾーンに飛んでいく。
踏み込みが浅いと踏んだ大和は、次も同じボールを要求。
好太は要求通りの球を投げ、バッターは見逃す。
「ストライク！」
審判は右手を上げながら叫んだ。
これでツーストライクとなり、バッテリーが圧倒的な有利に立つ。
この場面、一球外してくるのが定石だと言う風に相手は思っているはずだ。
相手にやたらむやみに情報を与えたく無い大和は、ここでの勝負球はストレートと決めている。
しかし、一球外すか否か、内角か外角か決めかねていた。
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