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一回が終わったところで、青山堂が3点をリード。
5回までに7点差をつければ、その時点でコールドが決まる。
5回なら恐らく好太ももってくれるだろうから、それまでにあと4点とれれば、善戦どころかコールド勝ちも有り得てしまう。
大和はそこまで考えたが、頭を振ってその考えを追い出した。
結局そんな事を考えても取らぬ狸の皮算用にしかならないことを、経験上知っている。
今必要とされているのは、相手ピッチャーを前の打席で得た情報を元に分析すること。
しかし、ホームランを一球目で打ってしまったので、情報はほぼ皆無。
しょうがないので大和は身をベンチから乗り出し、他の打者の打撃を見て研究しようと思った。
この回も先頭は戸部で、やはりなぜか前に飛ばすことが出来ずにファールで粘っているようである。
「大和、なんで戸部は前に飛ばせないんだよ?」
好太が大和に聞いたが、大和にもその理由はよく分からない。
そんな大和を塚原と岩崎が変な目で見た。
「やっぱり大和は変わりもんだなー。あのボールの質がわかんないのに打てるなんてなー」
「どういうこと?」
「あのピッチャー、僕とストレートの質が似ている」
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