11、夢の始まり

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どちらにしても一長一短があり、どちらが良いとは一概には言えない。 ただし、速くて回転量の多い球は間違いなく、打ちにくいだろう。 「皆、守備をしなさい」 美鈴にそういわれてグラウンドを見ると、攻撃が終わっていた。 どうやら、三者凡退に打ち取られたようだ。 もしかしたら、菅原にエンジンがかかってきたのかもしれない。 「ま、なんとかなるか」 大和はゆっくりとベンチから出て、好太の投球練習を手伝った。 やはりカーブの精度が酷く、かなり使い所が難しい。 ただ、普通には使えない球だからこそ、逆に相手も対応がしにくいとも言える。 さらにシュートはスピードがあまり落ちない変化球なので、遅いカーブは緩急をつけることが出来るのだ。 「バッター」 審判が打者を呼び、水尾の四番が打席に入った。 背は170後半くらいだろうが、かなり筋肉質な体型をしている。 たしか、高校通産で20号くらいホームランを打っていると新聞に書いてあった。 その新聞には青山堂高校の記事は無く、好太がかなり悔しがっていた記憶がある。 好太はその事を覚えているだろうか。 そんな事を考えながら、大和はサインを出した。
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