11、夢の始まり

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大和は複雑な思いを抱えながら、再びグラウンドに出た。 試合は結局、塚原が好リリーフを見せ、強豪である水尾を五回コールドで下す。 水尾の選手達が泣いている中、大和もまた、いろんな複雑な思いに巻き込まれていた。 しかし、青山堂高校野球部は、今日、間違いなく一歩美鈴の夢に向けて前進した。 次の日は土曜で、いつも通りに朝から練習があった。 練習前に美鈴からいくつかの話があったが、好太の事はただよく試合を作ったとだけ言い、体力切れについては何も言わない。 午前中は大会期間中ということで、ランナーがいる場面を想定したシートノックを中心に、実践的な練習をした。 その際も美鈴は選手にいろいろなポジションを守らせる。 大和もキャッチャーはもちろん、サード、レフト、ファースト等を守った。 美鈴いわく、いろいろなポジションを守ることによって、広い視野を得ることが出来るらしい。 そこを好太が「何も大会期間中にやらなくても良いんじゃないすか?」と聞いたが、美鈴はいつも通りに笑っただけで何も言わなかった。 午前中はそういった練習をしている内に終わり、いつしか正午を回っている。
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