11、夢の始まり

28/54

1941人が本棚に入れています
本棚に追加
/604ページ
美鈴は続けてこう言った。 「でも、実は私も雨の影響が大きかったかなって思うの。雨がなかったらまぁ、予定通りに7回くらいまでは行けるペースだったと思うわよ」 美鈴がそういうと、好太はほっとした表情を見せた。 「だけど、まだまだ投球の幅が狭いかもしれないとも感じたわ。相手の打ち損じが多かったから助かったけれど、次もこう行くとは限らない」 そう言われた好太は、今度はがっくりと肩を落とした。 「だから、あなたにはまず、カットボールを覚えて貰うわ」 「カットボールっすか?」 「そう、カットボール。昨日の試合を見てて思ったけれど、好太君のツーシームのシュートは想像以上に完成されていると思ったの。だけど、結局シュートを狙い打たれたらかなり苦しくなる。そこで、カットボールで、相手の狙いを外すって言う作戦が考えられるわ」 大和も正直な所、好太のツーシームシュートは苦しい時に使っても打ち取れる、なかなか便利なボールだと思っていた。 そして、カットボールもシュートも、投げる感覚としてはストレートに近いと聞いている。 好太のストレートとシュートを見る限り、カットボールもなかなか良いボールである可能性は高い。
/604ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1941人が本棚に入れています
本棚に追加