11、夢の始まり

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「大和君にセオリーとして知っててもらいたいんだけど、流れを掴んだり離さないようにする方法は、『勝っていたら攻める。負けていたら守る』なの。昨日の試合、何故最後に好太君の投球練習をやめさせたの?」 「それは、好太の体力の消耗を減らすためです」 「確かに好太君の体力……いや、集中力は切れかけていた。だけど、あの場でペースを変えることが何を意味するか、今のあなたなら分かるわよね」 「……はい」 大和は小さな声で答える。 投球練習をしなかったことで好太の歯車が狂い、それが悪送球に繋がった。 美鈴ははっきりと言わなかったが、「好太のエラーは大和のせい」ということが言いたかったのだろう。 確かに、あの時の好太は流れに乗っていた。 そんな好太のペースを変えることは、感覚的に言ってもおかしな事。 美鈴の話から考えると、ああいった間合いを変える行為をするのは、ピンチになってから。 それがつまり、美鈴の言う所の「勝っている時は攻める。負けているときは守る」という事なのだろう。 「理解できたかしら」 大和は頷いた。 それを見た美鈴は、いつもより明るく笑う。
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