11、夢の始まり

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「あともうひとつ」 大和は「まだあるのか」と口に出しそうになったが、なんとか堪えた。 「塚原君に交代したとき、大和君も代えた。それは、あなたのリードが技巧派の好太君ならいいけど、本格派の塚原君には厳しいと思ったから。次の試合はそうならないと思うから、しっかり好太君のリードも考えていてね」 美鈴は「行って良いわ」と言い、大和は美鈴に背を向けた。 「あ、そうそう、最後にもう一つ。あなたには次の試合、また四番を任せるから頑張ってね。あなたの打撃、楽しみにしているわ」 そういって美鈴は立ち上がり、職員室へと歩いて行った。 大和もゆっくりと野球部の部室へと歩いていく。 「リードねえ……」 大和にすれば、四番を打つと言うよりもずっと、好太と塚原のリードを考える方が難しかった。 好太のリードについて、美鈴は悪くないと言っていたが、本当にそうであったのだろうか。 確かに有名な水尾をとても良い内容で抑えた。 だが、完投どころか、5回持たなかったのである。 これではとてもじゃないが良いピッチングとは言えないと思う。 好太や美鈴は雨や緊張と言っていたが、本当にそれだけなのか。
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