11、夢の始まり

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何か集中を切らすようなことや、集中力を浪費するようなことがあったのではないだろうか。 そんな事を考えていたら、ふと中谷の顔が思い浮かんだ。 中谷のリードはどうだったのだろうか。 今度あったら、中谷に聞いてみようと大和は思った。 午後からの練習で好太は、昨日の疲労を考えて投げずにシートノックをすることになった。 大和は昨日の試合であまり投げなかった塚原の相手。 次の試合で最初から塚原をリードする大和は、いろいろと考えながらプロテクターを着ける。 「はい、ちょっと良い?」 美鈴が手を叩きながら二人に言った。 「いきなりだけど、塚原君にもう一つ変化球を覚えて貰うわ」 美鈴はニコリとしながら、ボールを受け取る。 毎度毎度の事ではあるが、本当に美鈴は何を考えているのかよく分からない。 どう考えても、大会期間中に変化球を使いこなせるようになるわけが無いだろう。 それなのにカットボールやスライダー等、やたら変化球を覚えさせたがる。 それにいったいどんな意味があるのだろうか。 「スライダーと言っても、縦のスライダー。まぁ、Vスライダーってやつね」
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