11、夢の始まり

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美鈴はそんな事を考えている大和にお構いなく、塚原にスライダーの握りや腕の振りを教えていく。 「アメフトの選手がボールを前に投げるときの投げ方がちょうどスライダーと似ているの。ボールを指で切るようにして振り抜く」 「原理の話はこんな所ね」と美鈴は呟いた。 「さて、私が何故わざわざこの時期にスライダーを覚えて貰うか、分かる?」 塚原はうーんと唸ったがどうやら解らなかったらしく、助けを求めるように大和を見た。 当然大和も疑問に思っていた事であったから、分かるはずが無い。 「それはね、塚原君は三振を取るピッチャーだからよ」 美鈴はウフフと不気味に微笑む。 「今塚原君が持っている球種は、ストレートとSFF。ついでに好太君はストレート、シュート、カーブ、カットボール。まぁ、塚原君自身気付いていると思うけど、ちょっと変化球の数が少ないでしょ。だから、まずはストレートに近くて、ノビの良いストレートと相性の良い縦のスライダーを覚えてもらうの」 「でも、な、なぜ、この時期なんですか?」 塚原は大和が1番聞きたかった事を質問してくれた。 「……それは、私のミスよ」
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