11、夢の始まり

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大和は自分の耳を疑った。 「本来なら、春先に覚えてもらうべきなの。だけど、まだ体が成長途中で、なおかつ軟式から硬式に変わったばかりの選手達。私は迷ったの。どの変化球が良いかね。体に害の少なく、尚且つピッチャーとしてのスタイルが貫き通しやすい変化球を考えている内に、こうなっちゃったの。申し訳ないと思っているわ」 美鈴のいつもよりしおらしい様子に、大和も塚原も戸惑った。 大和としては美鈴を責めたり疑うつもりだった訳ではなく、単純に知りたかっただけなので、こう謝られてしまうと逆に悪い事をしたなと思ってしまう。 塚原も同様で「あ、謝るようなことじゃないですよ」と口走っていた。 「スライダーは難しい球じゃ無いし、塚原君にあっている。だから、頑張ってね」 「分かりました!」 塚原はそういうと、勇んでマウンドに駆けて行った。 「と、言うことなの、大和君」 「理解しました」 「分かってもらえて嬉しいわ。あと、塚原君が行っちゃったから言わなかったけど、塚原君にはもう一つ変化球を覚えて貰うつもり。今年の甲子園予選までに間に合わないと思うけど、覚えておいてちょうだい」
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