11、夢の始まり

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「え、何の変化球ですか……」 「塚原君の準備が出来たみたいよ」 美鈴に言われて前を見ると、塚原が握りの確認をしていた。 大和が座ると、塚原もセットポジションに入る。 よく考えてみると塚原がスライダーを初めて投げるのと同様に、大和もスライダーを受けるのは初めてだ。 塚原がボールを投げる。 ボールはぐいっとブレーキがかかり、大和は地面スレスレの所で受けた。 初めてとは言え、大和にもこのスライダーのクオリティは分かる。 「とても初めてとは思えないわね……」 美鈴の言葉に大和も頷く。 「これなら、直ぐにでも『チェンジアップ』の練習にはいれそうね」 美鈴は嬉しそうにふふふと笑った。 その投げ込みの後で塚原から話を聞いたら、塚原は岩崎と中学時代にスライダーの練習をしていたらしい。 スライダーは変化球の中でも難度が低い割に効果は高いので、練習していたとしてもなんら不思議は無い。 しかし、そうなら最初に一言言ってくれても良さそうなものだ。 塚原いわく、「スライダーに頼り切ってストレートの精度をもっと悪くするのを防ぐため」らしい
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