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苦しい時にスライダーに頼ってばかりだと、肝心な所でストレートを投げられなくなりそうな気がするのだそうだ。
多分としか言えないが、それはあっているのではないだろうか。
投手はほぼ全員、自分の感覚と言うものが優れている。
自分の体をいかに使うか、という練習を行っているのも原因の一つだろう。
そもそも運動神経が良いというのもある。
そう考えれば塚原のスライダーも間違いとは言えないのではないだろうか。
「でも、全く使わないってどうなんだよ?」
好太がランニングマシーンの上から聞く。
今、大和は好太や野田と一緒にトレーニングルームに来ていた。
大和はバーベルで大胸筋を、野田はダンベルで前腕を鍛え、好太は緩いペースで走っている。
三人は既にこのトレーニングルームの常連となっていたので、練習で多少遅くなってもトレーニングルームの一角は必ず空いているようになっていた。
「まあ、それはあるよね。しかもかなり良いボールなのに……」
「まぁ、次の試合に照準を合わせたんじゃねーかな。次の試合、先発は塚原なんだし」
好太は普通の顔で言ったが、大和は何となく裏があるように感じた。
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