11、夢の始まり

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苦しい時にスライダーに頼ってばかりだと、肝心な所でストレートを投げられなくなりそうな気がするのだそうだ。 多分としか言えないが、それはあっているのではないだろうか。 投手はほぼ全員、自分の感覚と言うものが優れている。 自分の体をいかに使うか、という練習を行っているのも原因の一つだろう。 そもそも運動神経が良いというのもある。 そう考えれば塚原のスライダーも間違いとは言えないのではないだろうか。 「でも、全く使わないってどうなんだよ?」 好太がランニングマシーンの上から聞く。 今、大和は好太や野田と一緒にトレーニングルームに来ていた。 大和はバーベルで大胸筋を、野田はダンベルで前腕を鍛え、好太は緩いペースで走っている。 三人は既にこのトレーニングルームの常連となっていたので、練習で多少遅くなってもトレーニングルームの一角は必ず空いているようになっていた。 「まあ、それはあるよね。しかもかなり良いボールなのに……」 「まぁ、次の試合に照準を合わせたんじゃねーかな。次の試合、先発は塚原なんだし」 好太は普通の顔で言ったが、大和は何となく裏があるように感じた。
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