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「先発が良かったか?」
大和が聞こうとしたら、野田が簡潔に聞いた。
「そりゃ、そうだろ。ピッチャーなんて先発完投が華だと思うもんだ」
「俺は思わなかったけどね」
大和は苦笑いを浮かべた。
「でも、仕方ねーとは思うんだよなー。ピッチャーとはいえ、全く打てねーし」
好太らしくなく、自嘲気味に言う。
「確かに、好太は打てないもんね……」
プロならばともかく、高校生ならばピッチャーだから打てないということはない。
むしろ四番でエースという選手が今までにもたくさんいた。
そう考えれば、塚原と好太を比べた場合、塚原先発案の方が有力かもしれない。
抜群の安定感でゲームを作る好太だが、必ず打線に切れ目を作ってしまう。
それに対し、塚原は破壊力のあるピッチングに打撃も出来る。
そう聞けばやはり、好太を火消し役に回す方が合理的に思えるのも無理はない。
「経験とコツ」
「は?」
「その二つで打撃は上手くなる」
とだけ言い、野田はトレーニングルームから出て行った。
恐らく、飲み物でも買いに行ったのだろう。
残された二人はとても変な空気に包まれた。
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