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「俺のリードってどう?」
大和はこの空気を打開すべく、1番重要な質問をぶつけた。
「どうって……。別に普通だぜ? 変だと思うようなのもあんまりなかったし」
好太は考えながら言った。
好太なら遠慮して言えない、ということはありえないから、多分本当に変だと思うことがないのだろう。
「あー、でも大和の配球、気が抜けねーかな」
「どうゆうこと?」
「大和は毎回毎回相手の打順とか関係無しにコーナーとかストライクゾーンいっぱいを狙うだろ? あれはちょっと苦しいな」
「なるほど……」
そういわれてみれば、毎回しっかりとサインをだして厳しい所に投げてもらっている。
迂闊だった。
それが好太のプレッシャーになっている可能性は、十二分に考えられること。
ピッチャーをしていた時の大和も、上位と下位で投げる力が同じというような事は無かった。
それは多分中谷が意図的に上位は丁寧、下位は大胆と投げ分けさせていたのだろう。
中谷は中谷でいろいろ考えていたのだろうと大和は思った。
「野球って難しいね」
「だよなー」
好太が少し走るペースを上げた横で、大和は腕立てを始めた。
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