11、夢の始まり

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野田はジュースを買いに学食へ来ていた。 購買部は昼にしか開かないが、自販機は学食が開いている間は使える。 ただ炭酸飲料が多く、炭酸を飲まないと考えると種類が限られてくるのだ。 しかも運動後に飲めるとなると、さらに選択は難しくなる。 ココアや果汁入り飲料は外したいところ。 いろいろ迷ったあげく、結局いつもと同じスポーツドリンクを買った。 それを飲んでいると、野田がいつも勉強している席に誰かが座っていることに気がつく。 恐らく橘だと思った野田は近づいた。 しかし、橘は机に突っ伏して眠っている様子。 野田が向かいの席に座っても気付かず、安らかな寝息を立てている。 頑張っている途中で挫折したらしく、右手はシャープペンを持ち、右頬はノートと密着していた。 このまま寝ていると、間違いなく寝違える。 野田は立ち上がり、自販機でアイスコーヒーを買って橘の前に置くと、寝ている橘の肩を優しく叩いた。 だが疲れ切っている様子の橘は目を覚ます事なく、眠り続けている。 一度「んー」と妙に色っぽい声でむずがったが、起きようとはしない。 何故か起こすことに罪悪感がした野田は、とりあえずそのまま橘を眺めた。
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