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普段教室で隣に座っている橘は、明るくてしっかりとしている。
授業中も毎回真面目に授業を聞き、好太と違って居眠りすることもない。
そうしてみると、橘がこうやって無防備に眠っている姿はそうそう見れないだろうから、レアだ。
ついでに言うと、こうして眠っている橘はかわいい。
そもそも顔はかわいい部類に入るが、性格的になかなかそこに気がつきにくいタイプ。
あまり親しくない人から告白されて動揺するのではないかと、野田は勝手に想像した。
「んぁー」
また橘は妖艶な声をだし、身をよじった。
その時、右手の甲がアイスコーヒーの缶に当たる。
「ひゃっ!」
橘はびくりとし、大声で叫んだ。
和やかな雰囲気の学食に響いた悲鳴に、そこにいた生徒たちは何事かと野田と橘を見る。
橘はまだ少し寝ぼけているようで、目を擦りながら辺りを見回した。
しばらくして、アイスコーヒーの缶に触れたと気付き、悲鳴を上げたことで注目されていることに気がつく。
橘は顔を真っ赤にして小さくなった。
「や、やぁ、野田君」
「『ひやっ!』はちょっとまずかった」
「よ、止してくれよ!」
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