11、夢の始まり

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ここで普通に野球をやってきた人間なら「そっか」などと言って理解するのだろうが、そこは小野好太。 「は? わけわかんねーぜ!」とでも言いたそうな顔をしている。 よほど今まで打撃に興味が無かったのだろうけれど、いくらなんでもわからなさ過ぎるだろ。 思わず溜め息が出た。 「外角の球を引っ張るって言うのは難しい。まず、この前提を理解しているか?」 好太は「そうなの?」とでも言いたそうな顔をしたが、急いで頭を縦に振った。 「だったらもう分かるだろ? 内角は引っ張り、外角は流す。どちらも出来たら最高だが実際は難しい。だから、とりあえず右方向、つまり流し打ちを狙うんだ」 「なるほどねぇ……」 好太は感心しているようで何度か頷いている。 これ以上「わかんねー!」と言われ続けたら説明のしようが無いと思っていたので、ホッとした。 「しかも、好太は右だからね」 大和が付け加える。 「野田君のような左打ちだと、流しても進累打になりにくい。だから、右打ちの方が進累打は打ちやすいからね」 「そんなもんか」 「だから、練習しないとね!」 「大和と好太はまだトレーニングするのか?」
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