11、夢の始まり

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「もし、塚原君のストレートとチェンジアップのフォームが逆であったなら、とても良かったの」 美鈴が喋りだした。 最近、実は美鈴は心を読めるのでは無いだろうかと大和は思う。 大和が疑問に思えばいつでも、かってに美鈴は話しだす。 もしかしたら、「何を言ってるの?」という思いが表情に出ているのだろうか。 大和はそっと自分の頬を触った。 「中日の大投手で、スクリューを使う山本投手を知っている?」 知っているも何もとても有名な投手で、あまりプロ野球を見ないと言っていた好太ですら知っているようで頷いている。 「山本投手の球速は140行くか行かないかくらい。だけれども、打者はあの遅いストレートを打ち損じる。それはスクリューという圧倒的なウイニングショットがあるというのも関係しているけど、球速の割にフォームが大きいという面も見逃せない」 言われて見れば確かに山本投手のフォームはとても大きく、あのフォームからあのストレートとはなかなか想像がつかない。 「フォームが大きい投手からは速いボールが、フォームが小さい投手からは遅いボールが投げられると、人間は本能的に思ってしまうのよ」
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