11、夢の始まり

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しかし座っていた場所は今でも空いたままで、難無く座ることが出来た。 青い空を見上げながらのんびりとご飯を食べる。 ここ最近の忙しさや変化が嘘のようだ。 好太は相変わらず騒がしいし、野田も相変わらず静かにしているけれど、野球部の中でも少しずつ最初の頃の緊張が緩みはじめた気がするし、学校は学校で初勝利に浮かれている。 そんな回りに少しばかり大和は戸惑っていた。 「ところで大和ぉ。試合終わってから結城ちゃんに会ったかぁ?」 「ん、会ってないよ?」 「そうかそうかぁ。お前も大変だな」 好太は一人合点したようで、ニヒヒと笑った。 一瞬、眠りかけていた闘争本能が覚醒しようとした気がしたが、やはり覚醒せずに深い眠りに落ちたようである。 「そ、そんな目で見るなよ」 好太は真面目な顔を止め、静かになった。 「ところで、なんで結城ちゃんの話を?」 「ん? ちょっと変な噂を聞いてな。まぁ、問題は橘ちゃんの方らしいけど」 そう言って好太は野田を見た。 無関心そうだった野田も、興味深げに好太を見据える。 「ほら、野田とか磯っちとか女の子にモテるじゃん?」
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