12、局地戦

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試合当日、この前の試合とは打って変わって、青空が空一面に広がっていた。 ここ数日雨が降っていないので、グラウンドは乾いている。 このグラウンドコンディションを見越してホースで水が撒かれているが、この晴天と気温では直ぐに乾いてしまうだろう。 「こるぁっ、好太っ! ふざけんな!」 好太が岩崎に水をかけようとしているのを見た大牟田がブチ切れた。 この球場はあまり設備が整った所ではないので、野球部員が手分けして手伝っている。 商業の選手と協力して整備をしているが、大和は一塁線にトンボをかけながら商業の選手へ帽子のつば越しに鋭い目で見ていた。 特にその視線の先にいるのは、エース安達。 紛れも無い、プロ注目の本格派ピッチャーだ。 直球は常時140キロを越え、最速は140の後半。 変化球はスライダーとフォークを持っているのは周知の事実だが、それは以前の大会で投げているというだけで、他にも変化球を持っている可能性は十分にある。 「あの子がエースよ」と整備の前に耳打ちしてくれた美鈴も、青山堂の不利を指摘していた。 一試合とは言え、現段階の手の内を知られている青山堂に対し、シードの商業の情報はない。
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