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大和がそういったら、「はぁ? コイツ何言ってるの?」と言う表情を好太がして、大和はしゅんとなった。
「ほら、大和。バッターズサークルいけ!」
好太が落ち込んでいる大和の肩をばんばんと叩いた。
大和は恨めしそうに立ち上がり、ヘルメットとバットを持ってバッターズサークルに入る。
ツーアウトなので足のレガースはつけたまま、片膝をつけて打席の野田を見つめた。
磯島、戸部と続く三人目の左バッター、野田。
左利きの左バッターだからこそ、磯島や戸部とは違った長打が期待できる。
しかし、安達は連続の右対左にも関わらず、その球威で完全に野田を圧倒していた。
あの野田が、振り遅れている。
基本に忠実で、お手本になりそうな程綺麗なフォームの野田が、ボールを前に運ぶことができない。
すべて掠ったような感じで、カットしているといったような感じではなかった。
ボール球にも手をだし、それをファールすると言う事が続く。
そもそも野田の選球眼はあまり良くないので、ボール球を打ってしまう傾向は前からあった。
しかも今回は相手があまりにも速い球を投げるので、選球眼の悪さに拍車がかかっている。
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